元雀荘スタッフが明かす仕事の裏側【給料・ルール・客とのトラブルまで】

雀荘サムネ2

雀荘シリーズ中編です。

今回はメンバー視点での仕事の裏側を語ります。前編で書かなかった「ボチボチ爽やかな闇」が各業務に潜んでいます。


この記事でわかること

  • 雀荘メンバーの具体的な仕事内容
  • 時給・給料の実態(マイナスになる理由)
  • メンバーに課せられた11の制約
  • 雀荘バイトのリアルなメリット・デメリット

先に筆者の当時の状況を共有します

中編の仕事内容を読む前に、筆者が置かれていた状況の時系列をざっと見てもらうと後の話が3倍ぐらい楽しくなります。

出来事状況
時給860円
初月の給料マイナス6万円(支払い発生)
家賃が払えず電気・ガス・水道 全部止められるフルコンボ
結果賃貸を追い出され、家具は店長宅に。住む場所をメンバー宅などで転々
食事毎日マクドナルドで生活(当時はまだ安かった)
2ヶ月目血を吐くも医者に行けず死を覚悟
空腹対策お客さん用のアイスコーヒーにシロップを大量投下して糖分補給
問題発生店で1回問題を起こし、1週間ホームレス
飢えを凌ぐコンビニで板ガムを手に入れてそれで過ごす
打開策麻雀で勝つしかないという結論に至るも、お客さんからむしり取りすぎてバチクソに怒られる
最終手段ホストクラブの体験入店(1勤務5,000円)

今こうして結婚して家建てて子供がいる生活をしているのが奇跡に思えるレベルです。


雀荘メンバーの業務内容

大まかな仕事内容は以下の通りです。

  • 開店・閉店作業
  • ドリンク・タバコなどの物品補充・在庫管理
  • 卓が埋まらない時にメンバーが対戦相手として入る
  • お金の管理
  • 店内清掃・牌や卓の清掃
  • 来店予約などの電話対応

パッと見は普通のバイトと変わりませんが、1つ1つに闇が潜んでいます。


営業時間の実態

オープンはAM10時。平日は昼過ぎまでほぼ誰も来ないので開店直後は暇です。

問題は閉店時間です。風営法では深夜0時〜朝6時は原則営業禁止ですが、シャッターを下ろした後も「仲間内で遊んでいる」という形でお客さんが残っていれば営業継続。朝5〜6時まで遊んで帰る方が多かったです。

閉店後の金銭集計で約1時間かかるので、6時閉店なら7時にようやく全部終わります。そこから10時オープンまで帰ってシャワーを浴びたら、寝られて1時間あれば御の字。週末は帰らずに店で寝た方が早いレベルでした。


給料がマイナスになる理由

これが雀荘バイト最大の特徴であり罠です。

フリー卓でお客さんが1人で来店した場合、メンバーが3人入って対戦相手を務めます。このときのメンバーの負け分は給料から天引きです。

  • メンバーが勝っても→ゲーム代400円引かれる
  • メンバーが負けたら→負け分が給料から天引き

メンバー3入りの時点でほぼ詰みです。

筆者の知る範囲では、個人の最大マイナスが月9万円を超えたメンバーもいました。時給から天引きされた上でのマイナス9万なので、その月の実質的な損失は15万円規模です。

筆者自身、入店から3ヶ月は連続で給料がマイナスでした。時給860円でバイトしているのに給料日に6万円払う状況です。


メンバーに課せられた11の制約

雀荘メンバーには一般のバイトにはない独自のルールがあります。思い出せる範囲で全部書きます。

① 引きヅモ・強打の禁止 ツモ上がり時の引き動作と牌を叩きつける打ち方は禁止。お客さんを威圧しないためです。

② 即引っ掛けリーチ禁止 上がり牌の隣を切っての即リーチは1巡後まで待つこと。できる限り使わないように打ち回すことを叩き込まれました。

③ 卓の状況を声出しで報告 南入・オーラス・トップの状況など、卓内の情報を他のメンバーに聞こえるよう常に声で伝える。

④ お客さんの注文はどんな状況でも即対応 清一色5面待ち聴牌中でも、お客さんからドリンクの注文が入れば「〇卓〇〇さんアリアリお願いします」と発声して対応する。麻雀に集中するのは許されない。

⑤ 打牌は2秒以内 ツモってから切るまで最大2秒。雀鬼流では1秒が目安と聞きましたが、これでも十分厳しかったです。④と組み合わさると入りたての頃は本当にボロボロになります。

⑥ 見せ牌・チョンボの厳格な裁定 手牌を倒した牌ではその局上がれない。誤ロンはマンガン払い。コシ(鳴こうとしてピクリとする動作)は上がり取りの場に1,000点供託。

⑦ 第1打の制約 第1打に風牌(東南西北)を切らない。四風連打(4人が同じ風牌を第1打に切って流局)をお客さんに意識させないためです。

⑧ 賽振りの結果は誰よりも早く発声 親が「対11を振った」ならば即座に「対11、6残しでお願いします」と発声。お客さんより先に、毎回これをやります。

⑨ 捨て牌は6枚で次の段へ 河の牌は6枚ごとに段を変える。汚い河は即座に指摘されるほど厳しかったです。

⑩ 第1打は理牌よりも先に 自分が親でも、配牌を整理するより先に不要牌を判断して切る。お客さんを待たせないためです。

⑪ フリー卓1ゲームごとに着順と得点を記録 半荘ごとに誰がトップか・ゲーム代を誰からいただいたかを紙に記録。お客さんに「今どういう状況ですか?」と聞かれた時にも使います。

これだけの制約を守りながら麻雀を打ち、お客さんの接客もこなす。入りたての3ヶ月は思うように打てずひたすらアウトを切り続けていました。


お金の管理の実態

フリー卓では入店時に1万円分のチップに換金してもらい、半荘ごとのやり取りをすべてチップで行います。退店時に残ったチップを現金に換算する形です。

表向きは「賭けていない(チップでやり取りしている)」という建前でしたが実態はバチバチの賭博です。

当時の店ではオーナー・店長・メンバーが金庫のお金やタバコをちょいちょい抜くのが暗黙の了解になっており、当然帳簿は合いません。筆者も食べるものがなくてタバコや飲み物で生き延びていた時期があるので人のことは言えませんが、無法地帯でした。


牌の清掃が人気な理由

牌の清掃は暇な時間帯に行う業務で、負けが込んでいるメンバーや入りたてのメンバーが率先してやらせてもらえる貴重な業務でした。

理由は練習ができるからです。清掃作業をしながら牌の扱いに慣れたり、ツモってから切るまでの時間を縮める練習ができます。

またオカルトではありますが「牌や点棒を大事に扱うと良いものが寄ってくる」というジンクスがあり、仕事で麻雀を打ち続けると本気でそういうものに縋りたくなります。


雀荘バイトのメリット・デメリット

メリット

  • 麻雀が確実に強くなる(本物の猛者と毎日打つので実力が底上げされる)
  • 強い相手と打つ面白さを覚える
  • 麻雀のルール・マナーへの理解が深まる

デメリット

  • 給料がマイナスになる可能性がある(本当になる)
  • 深夜〜朝まで営業のため生活リズムが崩壊する
  • 金銭感覚・倫理観が独特の方向に磨耗する

まとめ

雀荘メンバーの仕事は、接客・麻雀・記録・清掃・金銭管理を同時にこなす多忙なものです。時給860円で給料がマイナスになる可能性があるという事実だけで、おすすめできるバイトかどうかは察していただけると思います。

ただし麻雀が本当に好きで強くなりたいという方には、これほど成長できる環境はないと断言します。

後編では借金まみれ・住む場所なし・1週間ホームレス・ヤバい客の修羅場など、人生の底に最も近かった時期の全記録を書きます。

後編:人生の底・修羅場・辞めるまでの全記録

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